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八十小路


 

*海のことなど
南風といっしょに、どことなく湿りけのある潮の香が谷戸の奥までとどいてくると、鎌倉の夏である。海岸に「お別 荘」がそれぞれ専用の脱衣所(といっても2坪か3坪の葭簀張りの小屋なのだが)を建てはじめるのが、海の李節の初まりを知らせるのだった。海岸への道の濃い陰影をおとす松林には山百合が匂っていたし、浜の砂山には赤っぽい紫に縁どった浜昼顔が点々と咲いて、熱い砂に蔓を伸ぱし這っていた。鍔の広い経木の帽子に裾の長い海水着が、女性の浜の制服、制帽のようだった時代ががなりつづき、やがて半袖シヤツに半股引みたいなのに変り、それが更にすこしづつ短かくなり、帽子も経木から、鍔の狭いゴム引の布の海水帽に変って行った。それでも、朝夕の海岸は、まだまだ浴衣に経木帽の親達が、白絣に紫紺のメリンスの兵児帯を胸高にしめた男の子や赤い帯の女の子をつれて散歩する姿が多かった。吉井勇の言葉をかりれば、「浜の旅館」の屋根に旗がはためき、相模の海も燃えていた、明治の夏の海である。



鎌倉のなかの明治
その1「段葛」  その2「海岸への道」  その3「別荘」  その4「海のことなど」  その5「人力車 自転車」  その6「松のある風景」
鎌倉のなかの大正
その1「鎌倉劇場」  その2「白切符 青切符」  その3「鎌倉能楽堂」  その4「自動車」  その5「遊覧馬車」   その6「外人客」  その7「海浜博覧会」  その8「海軍さん」  その9「洋食屋」  その10「第二の変わり目」
鎌倉のなかの昭和
その1「提灯」  その2「めいた町」  その3「海から来る春」  その4「暗かったころ」  その5「市民座」  

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